適用される教育職員免許法

「教育職員免許法施行規則の一部を改正する省令(平成30年文部科学省令第34号)」が2019年4月より施行されました。以下,便宜上「2019年教職免許法」と呼びます。

教育職員免許法はこれまでも何度か改正され,その都度,免状許取得に必要な単位等の基準が変更されてきました。以下の表1に,入学時と適用される教育職員免許法の対応についてまとめました。

表1 入学時期と適用される免許法
入学時期 入学時期からの在学関係が継続している間に,
基礎資格と単位修得を完了した場合
入学時期からの在学関係が継続している間に,
基礎資格と単位修得を完了していない場合
2019年4月1日から 2019年度教職免許法(新法) 2019年度教職免許法(新法)
2011年4月1日から
2019年3月31日
2011年度教職免許法(旧法)
2000年4月1日から
2011年3月31日
2000年度教職免許法
1990年4月1日から
2000年3月31日
1990年度教職免許法
備考
  • ここで,「在学関係が継続している間」とは,入学から卒業(修了)までの間。または,科目履修生としての在学期間が継続している間のことを指します。
  • 大学院に入学した場合(進学した場合)は,在学関係が継続しているとは見なされませんので,注意が必要です。例えば,2016年4月に学士課程に入学し,卒業までに免許を取得できず,2020年4月に大学院に進学した場合は,2019年度教職免許法が適用されます。

免許状取得に必要な単位等(2019年度教職免許法)

免許状取得に必要な所要資格

免許状取得に必要な所要資格は表2に示すとおりです.

なお,「教科及び教科の指導法に関する科目」,「教職に関する科目」等については,「学習案内」又は「教職ガイドブック」を参照してください.

一種免許状

基礎資格を得ること及び必要単位等を修得することにより,取得することができます.

専修免許状

下記により,取得することができます.

  1. 基礎資格を得ること
  2. 同一学校種・同一教科の一種免許状取得に必要な条件を学士課程授業科目の単位修得等によって満たすこと
  3. 学院の授業科目で,取得希望免許教科の備考4に該当する科目を24単位以上修得すること
表2 免許状取得に必要な所要資格(2019年教職免許法)
免許状の種類 所要資格
基礎資格 教科及び教科の指導法に関する科目 教職に関する必修科目 教科及び教科の指導法,または教職に関する選択科目 (*3) 日本国憲法 体育 外国語コミュニケーション 情報機器の操作 介護等の体験
中学校教諭 専修
免許状
修士の学位を有すること (*1) 一種に同じ 一種に同じ  一種 (*3)
+24(大学院科目) (*4)
一種に同じ 一種に同じ 一種に同じ 一種に同じ 必要 (*5)
一種
免許状
学士の学位を有すること (*2) 28 27 4 (*3),(*6) 2 2 2 2 必要
高等学校教諭 専修
免許状
修士の学位を有すること (*1) 一種に同じ 一種に同じ 一種 (*3)+
24(大学院科目) (*4)
一種に同じ 一種に同じ 一種に同じ 一種に同じ
一種
免許状
学士の学位を有すること (*2) 24 23 12 (*3),(*6) 2 2 2 2
根拠となる法令
  • ア 教育職員免許法別表第一
  • イ 教育職員免許法別表第一備考第四号・教育職員免許法施行規則第66条の6
  • ウ 小学校及び中学校の教諭の普通免許状授与に係る教育職員免許法の特例等に関する法律,平成9年法律第90号
備考
  • (*1)「修士の学位を有すること」には,大学院の修士課程に一年以上在学し,30単位以上修得した場合を含む.
  • (*2)「学士の学位を有すること」には,いわゆる飛び級により大学院の修士課程に入学した場合を含む.
  • (*3)「教科及び教科の指導法,又は教職に関する選択科目」は,表3,表4の所要単位を超えて修得した科目。
  • (*4)専修免許状取得のための24単位の対象科目については,教務課大学院グループ,または,すずかけ台教務グループの窓口で確認すること。なお,免許申請時に発行される「学力に関する証明書」には,これらの科目は「大学が独自に設定する科目」という名称で記載される。
  • (*5)すでに中学校の免許状を取得している者は不要。
  • (*6)教育職員免許法第6条第3項別表第四により取得する者を除く。

「教科及び教科の指導法に関する科目」の単位修得方法

表2の「教科及び教科の指導法に関する科目」の単位修得方法は,免許教科ごとに表3-1〜4のとおりとします。また,それぞれに対応する授業科目および履修方法の詳細は,「教職ガイドブック」やシラバス等を参照してください。

表3-1 数学の「教科及び教科の指導法に関する科目」の単位修得方法
免許法施行規則に定める科目区分等 最低修得単位数
科目区分 各科目に含めることが必要な事項 中学校 高等学校
教科に関する専門的事項 代数学 20単位 20単位
幾何学
解析学
確率論、統計学
コンピュータ
各教科の指導法(情報通信技術の活用を含む。) 8単位 4単位
表3-2 理科の「教科及び教科の指導法に関する科目」の単位修得方法
免許法施行規則に定める科目区分等 最低修得単位数
科目区分 各科目に含めることが必要な事項 中学校 高等学校
教科に関する専門的事項 物理学 20単位 20単位
化学
生物学
地学
物理学実験(コンピュータ活用を含む。)
化学実験(コンピュータ活用を含む。)
生物学実験(コンピュータ活用を含む。)
地学実験(コンピュータ活用を含む。)
各教科の指導法(情報通信技術の活用を含む。) 8単位 4単位
表3-3 情報の「教科及び教科の指導法に関する科目」の単位修得方法
免許法施行規則に定める科目区分等 最低修得単位数
科目区分 各科目に含めることが必要な事項 高等学校
教科に関する専門的事項 情報社会・情報倫理 20単位
コンピュータ・情報処理(実習を含む。)
情報システム(実習を含む。)
情報通信ネットワーク(実習を含む。)
マルチメディア表現・技術(実習を含む。)
情報と職業
各教科の指導法(情報通信技術の活用を含む。) 4単位
表3-4 工業の「教科及び教科の指導法に関する科目」の単位修得方法
免許法施行規則に定める科目区分等 最低修得単位数
科目区分 各科目に含めることが必要な事項 高等学校
教科に関する専門的事項 工業の関係科目 20単位
職業指導
各教科の指導法(情報通信技術の活用を含む。) 4単位

「教職に関する必修科目」の単位修得方法

表4に,「教職に関する必修科目」の単位修得方法を示します

表4 「教職に関する必修科目」の単位修得方法
免許法施行規則に定める科目区分等 左を内容として含む
本学の授業科目
単位数 中学校 高等学校 開講年次
クォータ(Q)
注意事項
科目 各科目に含めることが必要な事項 必修 必要
単位
必修 必要
単位
教育の基礎的理解に関する科目 教育の理念並びに教育に関する歴史及び思想 教育基礎A 1-0-0 10 10 1,2年3Q  
教育基礎B 1-0-0 1,2年3-4Q  
教職の意義及び教員の役割・職務内(チーム学校運営への対応を含む。) 教職概論A 1-0-0 1,2年1Q  
教職概論B 1-0-0 1,2年2Q  
教育に関する社会的、制度的又は経営的事項(学校と地域との連携及び学校安全への対応を含む。) 教育制度 1-0-0 1,2年4Q  
教育行財政 1-0-0 1,2年3-4Q  
幼児、児童及び生徒の心身の発達及び学習の過程 発達と学習Ⅰ 1-0-0 1,2年1Q  
発達と学習Ⅱ 1-0-0 1,2年2Q  
特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対する理解 特別支援の理論と教育的配慮 1-0-0 1,2年3~4Q  
教育課程の意義及び編成の方法(カリキュラム・マネジメントを含む。) 教育課程編成の方法 0-1-0 2,3年2Q  
道徳、総合的な学習の時間等の指導法及び生徒指導、教育相談等に関する科目 道徳の理論及び指導法 道徳の指導法 2-0-0 10 - 8 2,3年3-4Q
総合的な学習の時間の指導法 特別活動及び総合的な学習の時間の指導法 0-1-0 2,3年2Q  
特別活動の指導法
教育の方法及び技術(情報機器及び教材の活用を含む。) 教育工学 0-1-0 2,3年1Q  
情報機器およびデジタル教材の活用 0-1-0 2,3年3-4Q  
学習者特性に基づく指導方法の設計 0-1-0 2,3年3-4Q  
生徒指導の理論及び方法 生徒・進路指導論 1-0-0 1,2年1Q  
教育相談(カウンセリングに関する基礎的な知識を含む。)の理論及び方法 教育相談論 1-0-0 1,2年2Q  
進路指導及びキャリア教育の理論及び方法 進路指導・キャリア教育論 0-2-0 1,2年3-4Q  
教育実践に関する科目 教育実習 教育実習基礎A 0-0-1 5 3 4年1,2Q
教育実習基礎B 0-0-1 4年3,4Q
教育実習第一A 0-0-1 4年1,2Q
教育実習第一B 0-0-1 4年3,4Q
教育実習第二A 0-0-2 4年1,2Q
教育実習第二B 0-0-2 4年3,4Q
教育実習第二C 0-0-2 4年1,2Q
教育実習第二D 0-0-2 4年3,4Q
教育実習第三A 0-0-3 4年1,2Q
教育実習第三B 0-0-3 4年3,4Q
教育実習第四A 0-0-4 4年1,2Q
教育実習第四B 0-0-4 4年3,4Q
教職実践演習 教職実践演習 0-2-0 2 2 4年3,4Q  
  合計 27 合計 23  
備考1)

表中の記号は,以下のとおりである。

  • ◎=全免許教科で必修,●=教育実習の時期・期間に基づき履修する科目
  • ア :中一種免においては必修科目,高一種免においては,「大学が独自に設定する科目」として扱う。
  • イ :A,Bいずれか一方を履修すること。A,B両方の履修は認められない。
    「教育実習第一A又はB」は,「教育実習第三A又はB」を修得した者のみが履修できる。
  • ウ :前期に実施する2単位実習を履修する者は,原則として教育実習第二Aを履修する。(ただし,既に教育実習第二Aを履修した者が前期に2単位実習を行う場合は,教育実習第二Cを履修すること。)
    また,後期に実施する2単位実習を履修する者は,原則として教育実習第二Bを履修する。(ただし,既に教育実習第二Bを履修した者が後期に2単位実習を行う場合は,教育実習第二Dを履修すること。)

イ・ウの科目の履修の際の組み合わせ例を表5に示す

表5 イ・ウの科目の履修の際の組み合わせ例
取得希望免許状 実習時期及び期間 履修科目
中学校・
高等学校
前期4週間 教育実習基礎A 教育実習第四A -
前期3週間・後期1週間 教育実習基礎A 教育実習第三A 教育実習第一B
前期2週間・後期2週間 教育実習基礎A 教育実習第二A 教育実習第二B
前期2週間・前期2週間 教育実習基礎A 教育実習第二A 教育実習第二C
後期4週間 教育実習基礎B 教育実習第四B -
高等学校 前期2週間 教育実習基礎A 教育実習第二A -
後期2週間 教育実習基礎B 教育実習第二B -
備考2) 工業の高等学校教諭一種免許状に関する振り替え規定

教育職員免許法施行規則第五条第1項表備考第六号において,「工業の普通免許状の授与を受ける場合は,当分の間,各教科の指導法に関する科目,教育の基礎的理解に関する科目等の全部又は一部の単位は,当該免許状に係る教科に関する専門的事項に関する科目について修得することができる。」と規定されている。ただし,振替え規定を利用する場合でも,本学で一括申請する場合には,「教育工学」,「工業科教育法I・II・III・IV」,「教育実習」を必修とする。

備考3) 卒業単位に含めることのできる科目

以下の科目は,教育職員免許法施行規則に定められた「道徳、総合的な学習の時間等の指導法及び生徒指導、教育相談等に関する科目」であるとともに,専門科目として卒業単位に含めることができる。

  • 「学習者特性に基づく指導方法の設計」

教育職員免許法施行規則第66条の6に定める科目

免許状の取得には,表2アの所要資格の他に,特に必要なものとして,表2イに示した文部科学省令で定める科目(日本国憲法・体育・外国語コミュニケーション・情報機器の操作)の単位を修得していることが必要である。これに対応する本学の授業科目は表6のとおりである。

表6 教育職員免許法施行規則第66条の6に定める科目
文部科学省令で定める科目 本学の授業科目 単位数 必要単位
日本国憲法 「法学(憲法)B」 2 2
体育 「ウェルネス実習」 1 2
「健康科学演習」 1
「生涯ウェルネス実習」 1
「生涯スポーツ実習」 1
外国語コミュニケーション 「英語第一 ~ 英語第八」 各1 2
「ドイツ語初級1・2」
「フランス語初級1・2」
「ロシア語初級1・2」
「中国語初級1・2」
数理、データ活用
及び人工知能に関
する科目又は情報
機器の操作(*1)
数理、データ活用
及び人工知能に関
する科目
    2
情報機器の操作 「コンピュータサイエンス第一」及び
「コンピュータサイエンス第二」
2
「情報リテラシ第一」及び
「情報リテラシ第二」
2

(*1)「 数理、データ活用及び人工知能に関する科目」で2単位,または「情報機器の操作」で2単位を修得しなければならない。

備考
「教科に関する専門的事項」の単位として算入した授業科目の単位は,第66条の6に定める科目の単位として重複して算入することができないため,以下の表を参照すること。

  66条の6の科目「情報機器の操作」 「教科に関する専門的事項」に
該当する科目
理学院 中一種免(数学)
高一種免(数学)
「情報リテラシ第一,および同第二」 「コンピュータサイエンス第一」
「コンピュータサイエンス第二」
中一種免(理科)
高一種免(理科)
「情報リテラシ第一,および同第二」または
「コンピュータサイエンス第一,および同第二」
 
工学院 高一種免(情報) 「コンピュータサイエンス第一,および同第二」 「情報リテラシ第一」
高一種免(工業) 「情報リテラシ第一,および同第二」または
「コンピュータサイエンス第一,および同第二」
 
物質理工学院 中一種免(理科)
高一種免(理科)
「情報リテラシ第一,および同第二」または
「コンピュータサイエンス第一,および同第二」
 
高一種免(工業) 「情報リテラシ第一,および同第二」または
「コンピュータサイエンス第一,および同第二」
 
情報理工学院 中一種免(数学)
高一種免(数学)
「情報リテラシ第一,および同第二」または
「コンピュータサイエンス第一,および同第二」
 
高一種免(情報) 「コンピュータサイエンス第一,および同第二」 「情報リテラシ第一」
生命理工学院 中一種免(理科)
高一種免(理科)
「情報リテラシ第一,および同第二」または
「コンピュータサイエンス第一,および同第二」
 
環境・社会理工学院 高一種免(工業) 「情報リテラシ第一,および同第二」または
「コンピュータサイエンス第一,および同第二」
 

免許状取得に必要な単位等(2000年度教職免許法)

免許状取得に必要な所要資格

免許状取得に必要な所要資格は表7に示すとおりです.

なお,「教科に関する科目」・「教職に関する科目」等については,「学習案内」又は「教職ガイドブック」を参照してください.

一種免許状

基礎資格を得ること及び必要単位等を修得することにより,取得することができます.

専修免許状

下記により,取得することができます.

  1. 基礎資格を得ること
  2. 同一学校種・同一教科の一種免許状取得に必要な条件を学部授業科目の単位取得等によって満たすこと
  3. 大学院の授業科目で,取得希望免許教科の「教科に関する科目」又は「教職に関する科目」に認定されている科目を24単位以上取得すること(対象となる科目は,教務課大学院係(大岡山)又は学務課大学院係(すずかけ台)で「専修免許取得に関する『教科又は教職に関する科目』一覧(大学院)」を参照のこと.)
表7 免許状取得に必要な所要資格
免許状の種類 所要資格
基礎資格 教科に関する科目 教職に関する科目 教科又は教職に関する科目 (*3) 日本国憲法 体育 外国語コミュニケーション 情報機器の操作 介護等の体験
中学校教諭 専修
免許状
修士の学位を有すること (*1) 一種に同じ 一種に同じ 一種 (*3)
+24(大学院科目) (*4)
一種に同じ 一種に同じ 一種に同じ 一種に同じ (*5)
一種
免許状
学士の学位を有すること (*2) 20 31 8 (*3) 2 2 2 2 必要
高等学校教諭 専修
免許状
修士の学位を有すること (*1) 一種に同じ 一種に同じ 一種 (*3)+
24(大学院科目) (*4)
一種に同じ 一種に同じ 一種に同じ 一種に同じ
一種
免許状
学士の学位を有すること (*2) 20 23 15 (*3) 2 2 2 2
根拠となる法令
  • ア 教育職員免許法別表第一
  • イ 教育職員免許法別表第一備考第四号・教育職員免許法施行規則第六六条の六
  • ウ 小学校及び中学校の教諭の普通免許状授与に係る教育職員免許法の特例等に関する法律,平成9年法律第90号
備考
  • (*1)「修士の学位を有すること」には,大学院の修士課程に一年以上在学し,30単位以上修得した場合を含む.
  • (*2)「学士の学位を有すること」には,いわゆる飛び級により大学院の修士課程に入学した場合を含む.
  • (*3)「教科又は教職に関する科目」
    「教科に関する科目」及び「教職に関する科目」の所要単位を超えて修得した科目
  • (*4)「教科又は教職に関する科目(大学院科目)24単位」について
    大学院の授業科目で,「教科に関する科目」又は「教職に関する科目」に認定されている科目.
  • (*5) すでに中学校の免許状を取得している者(平成10年3月31日までに在学し,卒業するまでに所要資格を得た者を含む)は不要.